E・キューブラー・ロス著『「死ぬ瞬間」と臨死体験』には、愛は無条件であるべきだと、条件付きの愛で育てられた子どもは「娼婦」になると書かれています。親に愛されるためなら何でもする、そういう人たちは愛はお金で買えると思っているのです。でも真の愛は得られない。親の願いどおりに医者として成功して、いい暮らしをしても、幸せではないのです。本当は大工になりたかったのですから。
また、こうも書かれています。
愛には二つの側面があります。一つは抱きしめ、安心感を与えることです。もう一つの側面のほうがずっと重要なのですが、ほとんどの人は忘れています。それは愛する人に「ノー」と言う勇気です。子どもが12歳になってもまだ靴ひもを結んでやる母親は、子どもを愛しているのではなくて、ただ「ノー」と言えないだけなのです。
親が自覚しなければいけないもう一つの「ノー」があります。子ども一人で道路を渡らせることができない、または出かけるのを許せない親は、実は自分自身の欲求に対して「ノー」と言うことができないのです。「あれをしてはいけない」「これもしてはいけない」と言うのは、愛情ではなく、単に自分自身の恐怖、やり残した仕事を、子どもに投影しているだけなのです…
この本には、恐怖は2種類しかないなど、「神との対話」と同じ要素が多く出てくるのですが、親の役目は子どもを自立させること、これに尽きると思います。
私は、介護の勉強をしたのですが、介護の基本は自立支援です。その人らしい人生を送れるようにサポートすることです。
自立とは自己選択と自己決定です。
それは自己責任でもあります。
この本は、人生とは選択の総計であると言っています。自分の人生を変えるために必要なことは、自分の選択に責任を持つこと、それだけだと。良い選択をすれば、周りの人も幸せになれます。
クラスメートのイジメをやめさせること、万引きをやめさせること…これも「ノー」と言うことが愛である例だと思います。
子どもには相手のことを思ってそういう「ノー」が言える人間になってほしいと思いませんか?